
更年期に突入すると、それに伴いさまざまな症状が現れることがあります。そしてその中には、リウマチと似たような症状もありますが、更年期の関節痛とリウマチは根本原因が異なるため、治療方法が異なります。それでは、更年期で起こることがある関節の痛みやリウマチの原因についてご紹介していきます。
目次
更年期の関節痛とリウマチはどう違う?
それではまず、更年期の関節痛とリウマチの違いについて簡単にご紹介します。これらにははっきりとした違いがありますが、症状はとてもよく似ており、わかりにくいかもしれません。
しかし、根本原因が異なるため、症状が進行する中で決定的な違いが現れてきます。「リウマチかも」と思ったら、まずは慌てずにしばらく様子を見守りましょう。
☑リウマチの原因は「免疫異常」
☑更年期の痛みは「女性ホルモン分泌量の低下」
リウマチの原因は「免疫異常」
リウマチは、手足の指、手首、足首、股関節、膝に症状が現れやすい病気で、免疫異常が原因で起こります。リウマチは、左右同時に症状が現れることもありますが、どちらか片方、あるいは1部位のみに症状が現れることもあります。
また、リウマチの症状が現れ始める年齢はまちまちで、20代、30代と、更年期には程遠い年代の方が発症することもあります。さらに、症状が進行すると関節に歪みが生じて生活に支障が現れることも少なくありません。
更年期ではないのに関節が妙に痛い場合ではリウマチを疑わなくてはなりませんので、外科、整形外科、形成外科などで検査を受けてみることをおすすめします。検査でリウマチと判断された場合では、消炎鎮痛薬やステロイド剤、抗リウマチ薬などの治療で改善を目指すことができます。
更年期の痛みは「女性ホルモン分泌量の低下」
女性ホルモンのエストロゲンは、20代後半をピークとして分泌され、その後は年齢を重ねるごとに分泌量が低下します。そして更年期を迎えるとほとんど分泌されなくなり、関節に送られるコラーゲンやヒアルロン酸も減ります。
私たちの関節に存在するコラーゲンはクッション材、ヒアルロン酸は潤滑剤の役割を果たしています。そして、これらの量が不足していない状態であれば、関節の軟骨同士が直接触れ合うことがなく、痛みが出る心配はほぼありません。
しかし、コラーゲンやヒアルロン酸の量が極端に減ってしまった場合では、関節の軟骨同士が直接触れ合うため、患部に激痛が走ることがあります。この症状が膝関節に現れた場合では、最終的に歩行困難になることもありますので、おかしいと感じたら早めに婦人科で診察を受けておきましょう。
膝関節の痛みを無理に我慢していると、やがて変形性関節症を発症することがありますので、そうならないためには早めに治療を開始することが何よりも大切です。なお、女性ホルモンは脂肪細胞組織の一部からも生成されるため、痩せ形体型の方のほうがふくよかな体型の方よりも痛みが出やすいといわれています。
更年期の痛みは治療で改善できます
更年期で関節に痛みが現れたのであれば、「更年期だからしかたがない」と諦めてはいけません。上記でも触れていますが、特に膝関節に強い痛みが出ているのに我慢していると、膝関節が左右にずれる変形性関節症になるリスクが高まります。
痛いときには我慢せず、まずは婦人科を訪れて以下の治療で改善を目指しましょう。
☑ホルモン充填療法
☑ヒアルロン酸注射
ホルモン充填療法
女性ホルモン配合の内服薬、または注射で体内に女性ホルモンを取り入れる方法です。なお、この治療を受けると、止まったはずの生理がいきなり復活して驚くことがありますが、それは女性ホルモンの作用で現れる現象であり、異常ではありません。
治療期間については個人差がありますので、この点については医師の指示に従って必要な期間続けてみましょう。
ヒアルロン酸注射
変形性関節症のリスクが高い、歩行が困難など、緊急性が高いと医師が判断した場合では、ヒアルロン酸注射による治療が行われることがあります。美容目的のヒアルロン酸注射では自費診療となりますが、変形性関節症予防目的の治療であれば、保険が適用されることがあります。この点については病院によって異なりますので、心配であれば実際に診察を受ける前に、メールまたは電話で相談してみることをおすすめします。
更年期の痛みの改善には栄養摂取も大事
上記の治療で痛みを改善する際には、大豆イソフラボンやビタミン、タンパク質、ミネラル成分をバランス良く摂ることも大切です。
大豆イソフラボンやタンパク質は食事から摂りやすいため問題ないかと思います。しかし、ビタミンやミネラルを毎日コンスタントに摂ることは少々難しいかもしれません。
そのようなときには、無理に食事から栄養素を摂ろうとするよりも、サプリメントからの摂取のほうが合理的なこともあります。最近では安価でも高性能なサプリメントが販売されていますので、こちらも視野に入れて、栄養素を毎日きっちり摂ることを心がけましょう。
まとめ
リウマチの症状は20代、30代の方にも現れますが、更年期の関節痛は、更年期に差しかかる年齢になって現れます。若い頃には関節痛を経験したことがないのに、更年期になっていきなり関節痛が現れたのなら、まずは放置せず、婦人科で診察を受けてみましょう。
痛みを放置していると、それが原因でイライラしたり、不安感が募ったりと、いいことがありません。さらに、別の更年期障害の引き金になることもあるでしょう。更年期の症状は保険適用で受けることができますので、まずは婦人科を訪れて、少しでも早く治療を開始することをおすすめします。